「人」という肩書きで生きる

好きな人を取材して、その人の生き様を紹介しています。

No.4 居場所と出番がみんなにある機会を

現在、若年無業者及び社会実業家の道を歩んでいる久保 淳(あつし)さん(34)。社会から敢えてはみ出すことを選び、「組織に属している=安泰」という考えに一石を投じる。現在、久保さんは社会について自由に話す場を企画する団体「セッションズ」の代表を務めている。過去に色々なテーマを企画してきたセッションズが次に注目するのは「教室の圧力・スクールカースト」についてだ。今回このイベントを企画しようと思ったきっかけは?久保さんの想いを聞いてみた。

 

f:id:bubbagump-0404:20150516213148j:plain

 

『桐島、部活辞めるってよ』の前田くんタイプ

スクールカーストに興味があります。映画『桐島、部活やめるってよ』がとても印象的で」スクールカーストとは現代の日本の学校空間において、生徒の間に自然発生する人気の度合いを表す序列のことを言う。

「僕も高校時代は「前田くん」(神木隆之介さんが主演を務めた高校2年生の男子生徒。大の映画好き。クラスでは目立たない存在)と同じ感じでクラスの隅っこの方にいたタイプでした」

小学校、中学校は楽しかったという記憶がある。しかし、高校に入った時にクラスの中で一人ひとりがランク付けをされているような感覚を味わうようになった。

「クラスって、結局は面白いこと言う人とか、頭の回転が早い人が上にいくと思うんです。でも、僕はそういうタイプじゃなくて……」ちょっと照れながら話す。

 友人はいたし、グループにも属していた。それでも、学校やクラスの中でシガラミとかなく、もっと伸び伸び過ごせたらいいのになぁと思っていた。

 「みんながもっとやりたいことを自由にできる機会と環境があったらいいのに」

 その想いは高校生時代から芽生え始めていたのだろう。

 

「セッションズ」設立。個人を応援

2013年9月に「ロンカラ」をスタートさせる。ロンカラとは“カラオケで歌を歌うぐらい気軽な感覚で社会について討論してみる素人討論イベント”のこと。現在久保さんが代表として活動している団体「セッションズ」の前身になるものだ。

「今の社会に必要なのは、一人ひとりが社会について語ることのできる場所です。でも、実際は社会の課題について考えたい、話したいと思っていても、気軽に話せる場所は世の中に少ないのではないかと考えます」

 セッションズは社会的弱者と言われている人たちの参加も歓迎している。普段社会の中で疎外されがちなマイノリティの人たちにも自然に共存できる場所になることを目指す。

「一人ひとりが楽しく生きていけるお手伝いをしたいと思っています。学校、家族、社会に属していれば安全・安心という意識って強いんじゃないかな。逆に言ったら、“ここからはみ出たら終わり”みたいな。そうではなくて、どこに属していなくても生きにくくない世の中にしていきたいと思っています。そのために"好きなこと"ができるよう個人を応援していきたい」

 イベントで自分の好きなこと、したいこと、思っていることを自由に語れる場を提供している。「自分の中の想いを言葉にして伝えることって大事だと思うんで」

 

 社会に出て挫折、若年無業者

大学卒業後、数社で働くも、コミュニケーションが上手く取れなかったり、体調を崩してしまったりと組織になじむことができなかった。

 「社会にはいろいろなタイプの人がいるのは当たり前なのですが、人から注目を浴びたり、自分のポジションを作りたいがために敢えて頑張ったりしている人もいると思うんです。それは逆に自信がないことの裏返しと言うか」

 自尊心を保ちたがる人に違和感を抱くようになっていった。

「世の中には、周りに干渉して自分の承認欲求を満たす人がいると思います。それってすごく不毛な気がして……他人に対してあまりにも批判的過ぎるというか。何だか批判する方が賢く見えるような風潮があるような気がするんです」

 

好きなことをとことんしたらいい。周りにとやかく言われても、野次に負けない「好き」という気持ちを大切にしていきたいと思う久保さん。

「好きなこと追求し続けることって、一種の才能だと思うんです。そして、好きなことをしている時が、人って一番パワーが出ると思う。だから、好きなことができるようになるノウハウを具体的に確立していきたいと思っています」

 

f:id:bubbagump-0404:20150516213624j:plain

 

若者の自己肯定感の低さに着目

内閣府による「平成26年版 子ども・若者白書」の中の「特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの」によると、日本人の若者(満13~29歳)の自己肯定感は他7か国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、韓国)と比較すると低いという統計が出ている。

 「スクールカーストにフォーカスして、同じ立場であるはずの生徒に上位ランクと下位ランクが決まってしまっていることについて話し合えたらいいなと思っています。その見えない序列が子どもたちにとって見えない圧力、息苦しさを産む原因となってしまっているのではないかと思うから」

対象者は教育関係者だけでなく、コミュニケーションの在り方について考えたい人だ。

教室の中で起こっていることについて、語り合えたらと考える。

「教室内に潜む空気の正体は何なのか。そして、それを乗り越える術はあるのかを皆さんと一緒に語り合っていきたいと思います」

 自分自身が感じてきたことだからこそ、多くの人とディスカッションをしたいと考える。社会的立場が弱くても居場所を感じられて、それぞれに出番のチャンスがある場を作るにはどうしたらいいか。5/23の「教室の圧力・スクールカーストを乗り越えるには!?」が実りある場になることを目指す。

 

 社会起業家を目指して日進月歩

今まで、セッションズでは「働き方」「家族」「メンタルヘルス」「発達障害「選挙」「教育」「インターネット」「食」などをテーマに参加型ワークショップを行ってきた。久保さんは代表者といっても、無業者には変わりがない。

「ゆくゆくはセッションズで生計を立てていきたいんですけどね。想いを実際に形にできるビジネスモデルを確率したいです」

 そう笑いながら話す。

 34歳で一度も正社員経験がないやつが、社会起業家としてやっていけるってことを証明したいと思って」その表情は明るく、希望が溢れている。

 

最近、気功を体験してみて感銘を受けた久保さん。

「気功してからダンゼン集中力が上がりました!自分の行動や思考を意識して見ることが出来るようになって驚きです」

イライラしてしまったり、あまり自分に自信が持てなかったりとネガティブになることが時々ある。それでも、ネガティブな思考も客観的に見ることによって、ポジティブに変換できるという。

「感情はコントロールできないけど、思考はコントロールできると思うから。あとはとことんやるだけですかね!」

 

何かを始める時、1から100よりも、0から1にすることの方が難しいかもしれない。2年半かけて立ち上げたセッションズが羽ばたく日は、そろそろ近いのかもしれない。

 

 【略歴】

 

座右の品:水木しげるゲゲゲの鬼太郎』「学校や社会がないところが好き」

略歴:秦野高校→法政大学社会学部→社会人→若年無業者

趣味:漫画、音楽(ベースを弾きます)

尊敬する人:宇野常寛、萩上チキ

お気に入りスポット:神社(落ち着く)、江の島

特技:ピアノ、絵描き

好きな食べ物:自炊して部屋でのんびり食べる料理(冬は鍋や煮物、夏は炒め物!)

嫌いな食べ物:イカ(食感がダメ。でも生はOK)

好きなタイプ:何かんがえているかわからないボーとしている人。

       黙っていても存在感のある人。あとは色白で肌が綺麗な人!

嫌いなタイプ:清潔感に欠ける人

好きなことば:みんな違って、みんな良い / 個人的なことは政治的なこと

ブログURL:                      『いちじくはゼロから社会企業家を目指す』

                                          http://blog.livedoor.jp/ichijiku_boy/

セッションズFacebook  https://www.facebook.com/tohronkara

筆者とのつながり:しごとバー“仕事がないナイト”

 

f:id:bubbagump-0404:20150516213932j:plain

 

 

(執筆:小野 ヒデコ)

 

<小野ヒデコプロフィール>

おの・ひでこ 1984年生まれ。自動車メーカー、アパレル会社勤務を経て2015年にライターに転身。